アルバム全体から迷いを感じる「青春のエキサイトメント」 / あいみょん (2017)

 

 
“君はロックを聴かない” で知って気になってしまった あいみょん のメジャー1stアルバムが出た。
9月13日発売だけどもオリコンデイリーチャートでは9月12日付けで初登場16位。
この日のトップは東京パフォーマンスドール、それはそれで驚いたが、固定ファンが多いんだろうな。
 
全11曲。 “君はロックを聴かない” で問題提起したこともあって、アルバムはどうなんだという不安と疑いともちろん期待を握りしめながら通して聴いた。
 
問題提起ってのはこのことでして

 

 

最初に結論を言ってみる

やっぱり “君はロックを聴かない” は要らない。

シングルでしか出さないならまだ認めるが、このアルバムには全く要らない。
 
そして曲も詞ももっと赤裸々に正直にやりたいんだろうけど葛藤してんだな~と感じる作品。
 
インディーズ時代から応援し続けてきたわけじゃないので、全然経緯や事情は知らないんだけどさ。ファーストアルバムにしちゃ勢いが感じられない、みなぎるものがない。
 
いやちょいちょいはあるんだけどさ、ファーストアルバムってさ、これまで書き溜めてた曲の中から入魂の曲たちを送り出すわけじゃないすか。だからよくセカンドアルバムはそのアーティストの真価が問われるなんてことも言われてるわけで。
 
ミニアルバム2枚出してからのフルアルバムだからまた状況違うのかもしれないけど、親父さんの影響でフォークも聴いてきて、その熱が曲にも現れてるあいみょんさんには「うおおおお、熱すぎてこのCD持てねぇよ!!!」というような作品を期待しちゃうわけだ。
 
いや実際にはスマホにイヤホンで聴いてるからそんな事は起きないけどね。
 

1曲目 “憧れてきたんだ”

“憧れてきたんだ” は、この俺の勝手な期待に120%応えてくれるんですよ。
アコギかき鳴らして始まり、そこに重なるあいみょんの歌は音割れ寸前のビリビリ。追いかけてくるドラムだってビリビリ。
歌詞だって最高さ
私が知ってるロックスターなら 数年前に墓の中
掘り起こせ掘り起こそう ギターをまた握らせてやろう
こんなのを音がビリビリしてる録音で聴かされたらカッコ良すぎるじゃない
 
たかが2分半のこの曲がアルバムのハイライトなんじゃないかね
 

2曲目 “生きていたんだよな”

そしてバンドが入って2曲目へ。メジャー1stシングル “生きていたんだよな”
語りで綴られるAメロ、それを受け継いで歌に入るBメロ、サビとフォーク色も感じさせつつ現代ポップロックに仕上がってる良作。
 
何より詞にえぐられる。
二日前この辺で飛び降り自殺した人のニュースが流れてきた
の衝撃から始まり
生きて 生きて 生きて 生きて 生きて 生きて 生きて 生きていたんだよな
最後のサヨナラは他の誰でもなく自分に叫んだんだろう
で締めるサビ。
 
生きて x 8タイムズですよ。
あいみょんの歌のテーマは危ういところを突いてくる。
でもそれってみんなが心で思ってることを拾って歌にしてるから、おっかなびっくりだけども共感しちゃう。そんなところに彼女が特異で魅力あるところなんでしょうよ。
 

3曲目 君はロックを聴かない”

いいねいいね、と思って3曲目でつまづく。”君はロックを聴かない” ですよ。ここで大コケ。
僕はこんな歌やあんな歌で 恋を乗り越えてきた
そんなキレイな詞を聴かせてもらいたいんじゃねえやい!
 
ここまで書いてみて結局のところこの曲で、あいみょんが好きになったくせにこの曲が気に入らないんだな。
いや、そういうことなんでしょう。自己分析できたわ。
 
やっぱこの曲が気に入らねえ。
あいみょんに出会うキッカケになった曲だけど、気に入って他の曲を聴いていくとこの曲だけ軽い。これも彼女の一面なんだろうけども、今のところ消化できない。
 
恋愛についてだって夢中な自分と、それを斜めから見る自分がいて、あいみょんならその両方から詞を書けるんじゃないのか、と過剰に期待してしまう。
 
 
だからってここで聴くのをやめたりはしないぜ。
明らかに俺のテンションは落ちてるけど聴くぜ。
 

6曲目 “いつまでも”

この曲は見逃せない。
曲調こそスリーフィンガーフォークの優しいものだけど歌われてる内容のストレート具合は痺れる。
「死んだ友達がさぁ」って語れば売れんのか? 結局この世の表現ってのは 同情だけで成り立ってんのかなあ
おおお。ここまで叫んできたことにご本人から質問受けた気分だ。
歌詞が過激ならお前は聴くのか?と。
 
すまん、過激だと気になって聴いてしまうのは事実だ。
でも、でもそれだけじゃないんだ。NakamuraEmiにしたって、自分の言葉で飾らずに赤裸々に歌いやがるから初めて聴いていきなり心奪われるんだ。あいみょんもそういう人だと思うんだ。なんで言い訳してんだ俺。
 
いや待て。 “君はロックを聴かない” だって初めて聴いたときに、その歌声の強さに惹かれて心奪われたんじゃなかったっけか。
で、ちゃんと聴いてみて、歌詞を意識してったら、他の曲と比較してちょいと幻滅した。
 
“いつまでも” のストレートな詞はまだまだ語る。
それなりの生活やありきたりなごまかし方で 今を生きる
クソみたいな歌だと けなしてくれよ まだまだ燃えていたいんだ
 
なんて歌詞をみると、あいみょん自身にもどんな歌を歌えばいいのか迷ってんだなと感じる。
 
その迷いがこっちにも伝わってきて、ファーストアルバムにしちゃ勢いが感じられないものになってるんじゃなかろうか。
 

11曲目 “漂白”

 
最後の曲 “漂白” は、なんとなく方向が見いだせつつあるように思う。
歌詞は恋の話。でも “君はロックを聴かない” よりもストレートな想いがそのまま詞になっているように思う。
小さな嘘で誰かを傷つけたり 人は必ず後悔する それでも恋をしないと思う
なんて分析的に語ってたと思ったらサビでは
また会いに来てね 馬鹿馬鹿しいほどに私は恋をしていたわ
消えないでいてね まだまだ知りたいことがあります
と殊勝で可愛げのあるセリフ。この可愛げな詞を力強く歌い上げるもんだから輝いちゃう。ただキレイじゃないラブソング。
 
この辺が落としどころなんじゃないかな。ポップの枠からはみ出ない中でのあいみょん節。アルバム曲以外からの次のシングルでどんな歌が出てくるのかが注目だな。
 
こんな本人の迷いをそのまま聴かせるのがあいみょん節であり「青春のエキサイトメント」なのかもしれんね。
 
アルバムとしては気に入らないとこがあるけど応援するぜ!という珍しい決着。
 
収録曲
  1. 憧れてきたんだ
  2. 生きていたんだよな
  3. 君はロックを聴かない
  4. マトリョーシカ
  5. ふたりの世界
  6. いつまでも
  7. 愛を伝えたいだとか
  8. 風のささやき
  9. RING DING
  10. ジェニファー
  11. 漂白
Excitement of Youth

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