あいみょんのメジャー3rdシングル “君はロックを聴かない” が耳に残る。
ラジオで流れていたのを聞いたのが最初だろう。
最初は曲を知り、やがてどこかであいみょんという一見ふざけた名前を別々に知った。中学高校からのあだ名らしいので、ふざけてるわけじゃないらしい。それはいいのだ。「君はロックを聴かない」の曲の方。
「君はロックなんか聴かない」という曲をロックに乗せて聴かせる。その辺の皮肉っぽいところはさておき、声に心を奪われる。
曲を落ち着いて全部を通して聴いてみると、My Little Loverだかスピッツだかのような20年くらい古い印象のイントロから始まって、70年代フォークのようなメロディでAメロが歌われている。どんくさい。ウルフルズならカッコがつくだろうけどもなんとも中途半端でどんくさい。
でもあいみょんの声が堂々としてて印象に残る。たぶんカラオケで歌うと全然サマにならないタイプの曲。ご本人様専用。
歌われている歌詞の内容はなんてことはない。君はロックなんて聴かないと思いながら、少しでも僕に近づいてほしくてって、それは音楽バカが初めて付き合った彼女に求める姿勢だな。完全に自己中なんだけど青いの気づいてない。このロックを聴けば僕に近づけるぞって何様じゃいなと。
君はロックなんか聴かないと思うけれど、僕はあんな歌やこんな歌で恋を乗り越えてきた。乗り越える恋といえば失恋か。でもそれって今の彼女には関係ないだろってな感じになんだか腑に落ちない。
ふーんと思って、これまで発表されてる曲を見るとタイトルからして危険な香り。
“貴方解剖純愛歌~死ね~” だの、”どうせ死ぬなら” だの “生きていたんだよな” だの。ラジオで「思ったことをストレートに歌詞にすると過激な内容になってしまう」と言っていたが、これは狙っただろって思わざるを得ないレベルの過激さ。
“貴方解剖純愛歌~死ね~” なんて、ひどいもんだ。
あなたの両腕を切り落として、私の腰に巻いたら、他の女を抱くことができないぜ独り占めだぜーとか、あなたの両目をくりぬいてポッケに入れておけば最後の記憶は私だけだの、狂人的な愛を歌っておき、それでもそばに来てくれないなら死ねと言い出す始末。完全にヤバいやつだろ。
案の定、あちこちで放送自粛されたらしい。でもこの病んだ曲が心掴んじゃったりするんでしょう?そういうもんなんでしょう?
こうして見てくと今回の “君はロックを聴かない” にとってもとっても大人の粉飾が感じられるのは当然の展開か。
過去の過激な曲を隠すわけではないけど、あまり触れないようにするという中途半端な対処がまた怪しさを増す。
そこにおいてあるけど、あまり触れないで欲しい過去。これまで色々あったよね、ここでは触れないけど、的な大人感なのか?大失恋した後に飲み会に現れて、あんまりその話は聞けない感じ、みたいなポジションのアーティストってありなのか?
”君はロックを聴かない” は、過去の刺激曲に比べると全然引っかかるものがない。
でもいい感じのシンガーソングライターの曲と捉えると、声は潔くカッコいいし、惹きつけられる。女性シンガーが男性の立場で歌うというのも珍しいんだと思う。それにしても丸くなったもんだ。いや、いま調べた立場でこういうのもなんですが。
昔からのファンはこの曲で売れていくあいみょんを どんな思いで 見守ってるんだろうか。
毒気が抜けて悲しんでるんだろうか、それともそんな毒気も彼女の一面だけで、「君はロックを聴かない」も他の一面だけという風に思ってるんだろうか。
9月13日にアルバム「青春のエキサイトメント」が出るので、それを聴いてからまた考えてみようと思う。
でもさ、なんか売れそうな気がするんだよね。
耳障りのいい曲でドーンと出て、フタ開けると毒気も含めて多彩な才能を発揮しちゃう展開はいいと思う。
落差凄すぎだけど。
で、アルバム聴きました