これは売れるわ。
1stミニアルバム「Nice To Meet You??」を2017年1月に出したばかりの「緑黄色社会」。
2017年ブレイク間違いなしという紹介記事で目に留まり、聴いてみたらこれが非常に上質なポップバンドだった。
高校の同級生3人と後輩1人という身近な仲間による愛知県出身の男女混合編成。
女子チームはボーカルとキーボード、男子チームはギターとベース。後で触れるけどもギタリストの歌声もかなり良い。
アルバムのリードトラック”またね”のMVを観た。
な・・・ボーカルのビジュアル点数が高いじゃないか。「歌える波留」とどこかのコメントに書かれてたが決して褒め過ぎではないよ。
さて曲だ。う・・・歌い出しの「わた」の2文字で心奪われた。いいじゃないか。
スカッと立ち上がりのいい発声、息を聞かせる裏声、音を伸ばした時の細かい揺らぎ。聴く者を惹きつける良いボーカルだわこれは。
映像だと彼女、長屋晴子が9割以上を占めているけど、この辺は売り込み方ゆえなんでしょうな。
歌を聞かせるポップス曲とはいえ、バンドの役目も大きい。
ドラムが賑やかにパターンを変えながら叩いて曲を推進する方式は、ここのところのJ-POPロックの定石だけれども、他楽器陣もピアノを真ん中に据えた以外の、ギター、ベース、シンセはいくつものパターンのバッキングをどんどん打ち出してくる。その割に歌を邪魔せず、センスの良さを感じる。こいつら手練れだ。
歌詞もいいじゃないか。学生時代の青春よりは少し後の年代、ちょうど彼らの頃の大人と呼ばれるけど青い年代の詩だね。
私 あなたの前ではずっと笑って それ以外の顔出せなかった
寝息が途切れないように そっとドアを閉めた
「またね」
と思ったら
“いつか” なんて言葉はいつも 口に出したらすぐに消える
それを全部叶えていたら 変わっていたのかも
ぐぐ、人生を真芯で捕らえて打ち込んでくるなぁ。その通りだよ。
ということで、すっかり気に入ってしまったので次の曲へ。
同じく1stアルバムに収録されている”Bitter”
この曲はバンド色が消えて、シンセ、打ち込みドラムが前へ出たダンスポップ。
んぬぬ・・・完全にかわいいボーカルを押し出す作戦だな。
バンドメンバー誰も出てこないじゃないかw
フリまで付けちゃって完全にマーケティング優先してるな、と苦笑。
といいつつ、この曲もいい。作詞がボーカル長屋、作曲が長屋とキーボードのpeppe。女子チームで作っているのか。歌い方も少し変わってポップ色をより出している。
もう一曲行こう。
ライブ映像にスタジオ録音を被せた”アウトサイダー”
先に結論付けると、この曲こそが緑黄色社会の真骨頂なのではないかと思う。
クラシックピアノ出身で、バンドの過去の曲でもピアノ音を弾いていることがほとんどのpeppeがイントロからシンセによる攻めのシークエンスフレーズで曲を彩る。
この音色が緑黄色社会をただのキーボードありバンドとは違うものに仕立てている。
そして技巧派ロックの色を塗るのが、ギターの小林壱誓、ベース穴見真吾。
RED HOT CHILI PEPPERS好きという穴見のベースは確かにスラップ好きそうなギラっとしたサウンド。ギター小林は派手なフレーズは入れないがスタジオミュージシャンの如き適材適所バッキングで僕の好み。色々な音楽を聴いてきているのではないかと思う。
ん? スタジオ録音の方には無いようだけど、ライブ映像見るとギター小林がかなり歌っているな。
と思い、他の映像を探るとスピッツの”楓”を長屋と小林でボーカルを分け合ってカバーしているものがあった。Superflyと秦基博のカバーバージョンを意識しているんだな。
おお、小林さんいいじゃないか。秦さんバリと評するのは持ち上げすぎかもしれないけど、メイン張れる声してるよ。メジャーで売っていくには必要ないかもしれないけど小林メインの曲も十分に聞かせることできそう。
なんなんだこのバンドは。ビジュアルも曲も腕もいいってそんな事あっていいのか。
大体なんなんだよ緑黄色社会って。あえて調べないけど言い間違いから生まれたに決まってる。これ面白いじゃんって。別にそれでいいけど。
というわけで非の打ちどころのないこのバンドはすぐにヒットを出していただいて結構です。