
“Conga”、”Dr.Beat”、”Reach”等のヒット曲で世界的な人気を誇るキューバ出身の歌手Gloria Estefanの娘、Emily Estefanのデビューアルバム「Take Whatever You Want」発売のニュースに偶然出くわした。
どれどれと聴いてみると母親とは違う路線で、22歳という若さながら熟成されたジャジーでブルージーでソウル、いやそのような言葉だけでは括れない音楽を作り上げていた。ストレートなジャズよりは少し個性の強いボーカルが聴きたい、それでいてNorah Jonesのような落ち着きも欲しい、そんな方には是非オススメしたい。
少々興奮気味にこの才能溢れる2世アーティストのアルバムを紹介したいと思う。
続く次回の記事で両親の活躍に触れるが、この作品は完全に自立した、七光りなどというものは見当たらないEmilyの個性を表現した内容に仕上がっている。一曲ずつ見ていこう。
01. Ask Me To
幕開けはスローでジャジーなナンバー。
クリーンなジャズギターにミュートしたトランペットが乗っていく。なるほど歌声は母親に似てなくはないが、Phobe Snowのようなブルージーさを持っている。まずは落ち着いて聴いてみてよ、そんなオープニング。
02. Reigns (Every Night)
2016年10月に発表されたシングル曲。変わってオーガニック・ソウル調で、曲を牽引するのはベースギター。PVではEmilyがベースを弾きながら歌っている姿を見ることができる。
03. Alright
再びブルージージャズが戻ってくる。ギター、ベースとブラッシングドラムのみの小構成で奏でる2分程度の曲。
04. Purple Money
アコギ1本で妖しげなメロディを歌い上げるナンバー。後半のアドリブがさらに妖しさを醸し出す。
05. F**k to Be
EGO-WRAPPIN’がやりそうなスピーディーなブルージージャズ。2015年12月発表のしっかり作りこまれたPV映像もある。
06. It’s Ok
ここで突然曲調が変わってオールディーズへ。ドゥーワップがここで出てくるとは思わなんだ。
07. Dream Catcher
次の曲ではさらに変わって、YELLOWJACKETSをバックに従えたKevyn Lettauかのように伸びやかに歌い上げるバンド曲。演奏もそれっぽい。しかし音楽性が幅広いなぁ。
08. Drink Me In
ジャジーに戻る。更け行く夜を彩るようなホーンをバックに、裏声も混ぜながら自由に歌う彼女は本当に22歳なのか。老練さが感じられるのは何故だろう。
09. Undone
再びギター1本の温かい曲。他の曲でも感じていたことだが、若いのにメロディに攻撃的なところがないのが彼女の特徴かもしれない。それが何年にも渡って作品を送り出してきたかのような大御所感を出しているのかもしれない。
10. I Don’t Mind
バンド曲。この曲もYELLOW JACKETSがやりそう。先ほどはKevyn Lettauを例えに挙げたが、Kevynはこんなに泣きすがるような歌い方はしない。できないかもしれない。Emilyは歌いながら様々な人物を演じる。なんてカッコつけすぎかw
11. Left By Home
前曲に続いて絡みつくコーラスが連続感を演出する。しかしこの曲はベース・ドラムなしのフワっと浮いたままで軽快なアコギと包み込むエレキピアノがバック。こんな曲聴いたことがない。
12. Take 5
かの有名な同名曲と同じように五拍子かと思ったがそんなことは無かった。アシッドジャズ的なバンドの演奏にブラスが踊る今昔混沌とした曲。ライブ映えしそう。
13. Whatever You Want
Stingに出てきそうなサックスソロが終始鳴り響くアルバムタイトル曲。前曲で普通に四拍子だったくせにこの曲で8分の7拍子。どういうイタズラだ。
14. Si Lo Pides Tu
1曲目”Ask Me To”のスペイン語バージョン。
Gloria Estefan Official Fanclubによるアルバムサンプラーが上がっていた。なんだ全曲解説なんていらんやん。